2012.06.03 Sunday
桑沢の椅子。
もうかなり前のことですが。木工の世界に入る前は、グラフィックデザインを学ぶつもりで渋谷のデザイン学校に通っていたことがあります。
写真、タイポグラフイ、プロダクトデザイン、インテリアデザインetcを一通り学んだけれど、一番記憶に残っていた課題は通称「ハンスカ」と「ポリスカ」。
ハンドスカルプチャーとポリエステルスカルプチャーの略でどちらも木材とポリ樹脂を手で削り出し、握りやすい形状を作り出すという課題。
学生ホールや電車の中、廊下、どこでもシャカシャカペーパー掛けをしていたのは桑沢の学生です。
今はその課題を出す先生も亡くなってしまい、学生たちはipadをシュッとやる動作に様変わり。時代は変わるものです。
そしてタイミングよくそのハンスカを作っていた桑沢デザイン研究所内の工作室の椅子のリニューアルのお話があり、コンペで自分が提案したスタッキングスツールが採用されることとなりました。
木工業らしく代表的な広葉樹、ナラ、タモ、ウォルナット、メープル、チェリー、ブナ、アッシュ、バーチの8種類の座面で32台を製作。
これから学生さんたちは本物の広葉樹に腰掛けながら、新たなデザインを生み出して行く訳です。木目や特性を知る生きたサンプル。
家具を作るきっかけとなった母校の椅子を作るお仕事をさせていただきました。
静かに深く、感慨深い、、。